引きこもりという言葉が一時期話題になりました。
以前に比べるとテレビのニュース等で取り上げられることは少なくなりましたが、依然としてわが国には60万人近い数の引きこもりと、150万人近くの引きこもり予備軍がいると言われています。
あなたは大丈夫でも、あなたのお子さんや兄弟・知り合いが引きこもりにならないとも限りません。
そこで今回は、『なぜ引きこもりになるのか?』『男女で特徴の違いはあるのか?』などについて説明してみたいと思います。
引きこもりは年々減ってきている?
意外かもしれませんが、引きこもりの数そのものは減ってきています。
内閣府が発表した統計によると、引きこもりは2002年では約64万人ほどいたのですが、2015年の時点では56万人にまで減ったようです。
もっとも、引きこもりの定義もいろいろあり、このデータが果たしてどこまで正確なのかは専門家の間でも意見が別れているようですが。
しかし仮に減ってきているとしても、50万人以上もの引きこもりがいるというのは大変な問題です。日本の人口を1億3千万人とすると、実に260人に1人が引きこもりということになります。
一学年が300人ならば、学年に1人は引きこもりがいる状態です。
次に引きこもりの特徴を男女別に見ていきましょう。
男性の引きこもりの特徴
あまり知られてはいませんが、女性よりも男性の方が引きこもりは多いです。
引きこもりの7割が男性であるという専門家もいます。
以下に男性の引きこもりの特徴を挙げます。
『男性の引きこもりの特徴』
〇受験や就職の失敗など、社会的挫折を経験している人が多い。
〇社会的に自分は無価値だと思い込んでいる。
〇競争に負けることを恐れている。
〇恥をかいたり、他人と比べられることを恐れ、逃げようとする。
〇自己評価が低い
〇理屈で自分を守ろうとする(とにかく理屈っぽい)
〇内弁慶的な性格であり、家族や親しい人間には攻撃的になる
〇生真面目で、何事も自分の力でやり遂げなくてはいけないと思ってしまう。
このような特徴があります。
男性の場合、引きこもりになる原因は『社会的な挫折』が多い傾向があります。
男性は女性と違って『他の男性と競争する』という本能があるため、競争に負けると女性よりも大きなダメージを受けてしまいます。
よく、『女性よりも男性の方が心が繊細で脆い』と言われるのはそのためです。
そして、そんな負け組(と自分は思っている)の自分を守ろうと、無駄に理屈をこねたり、攻撃的になっている場合が多いです。
『引きこもりは性格が悪くなる』と言われるのはこのためです。理屈をこねて一生懸命に自分を守ろうとしているのです。就職難民で引きこもりのの高学歴男性が聞いてもいないのに『現代日本の経済構造のねじれ』などを語り始めるのはこのためです。
引きこもりの男性の特徴はこのように、『本当は挫折して自分に自信がなくなっているのに、家のなかでだけ偉そうな態度を取るパターンが多い』ということが言えます。また、生真面目で他人を頼ることが出来ない、という特徴も非常に多いです。
女性の引きこもりの特徴
次に女性の引きこもりの特徴を挙げていきます。
〇仕事を退職⇒引きこもりのケースが多い。
〇人間関係のストレスに弱い
〇過去の恋愛・結婚の失敗を引きずっている。
〇もう何もしたくない、という志向が強い。
〇人間関係のトラブルが起きると逃避したくなる性格。
女性の引きこもりは男性の引きこもりと異なり、『競争に負けたショックで自信喪失したから』という理由は少ないようです。やはり男性と違って競争という本能が少ないからでしょう。
代わりに、女性ならではの特徴として『人間関係のトラブルや失恋の傷を引きずっている』というものが多く見受けられます。これは、女性は本来的に男性よりもコミュ二ケーション能力が高く、周囲の人間と打ち解けるのが得意な傾向があるがために、そうでない女性が自信を失いやすくなるためでしょう。
『みんなは簡単に友達が出来るのに、私は出来ない…』
という挫折感が孤独感を増し、『それならいっそ…』と一人を選んでしまうのかもしれません。
また、最近では女性の社会進出が進み、男性同様に仕事のストレスを受ける機会も多くなってきました。それが原因で引きこっもってしまう女性も増えてきているようです。
かつては引きこもりといえば圧倒的に男性が多かったのですが、近年になって急激に女性の引きこもりが増えてきたのは、このような社会構造の変化によるものと考えられます。
引きこもりの原因は親?
引きこもりの原因は大きくわけて二つしかありません。
〇家庭内(親)に問題がある。
〇外部(社会・友人など)に問題がある場合。
外部(社会・友人)に問題がある場合というのは、たとえば友達にイジメられたとか、会社で嫌な上司・先輩・同僚に厳しく当たられたとか、そういうものです。
これらも確かに大きな原因ですが、そもそも『なぜイジメられたか?』『なぜ同僚に厳しく当たられても平気なひとと引きこもる人がいるのか?』を考えていくと、実はその原因は親にあるケースが多いです。
子供の性格のほとんどすべては親によって決まります。親が暖かく接してくれたか、子供の自主性を尊重してくれていたかなどによって、子供は『引きこもりやすい性格』になるか『引きこもりにくい性格』になるかどうかが決まります。
男女を問わず、引きこもりになりやすい性格の特徴として元々は『素直ないい子』だったとか、『自分の意見を言わず、妙に規範的』というものがあります。
これは、彼らが子供のころ、『親に口答えすることが許されなかった』ことが原因だと考えられます。他人に意見を言えないのも、自分のやりたいことを伝えられないのも、ルールに過剰に従おうとするのもすべて、親に支配されて生きてきた結果です。
親に怒られるのが嫌で、親の言いなりになって良い子を演じて生きてきた結果、それが限界に達したときに『引きこもる』という選択を取るのです。
子供の性格と家庭(親)との関係
子供の性格は幼少期の家庭環境で決まります。
そのほとんどは親ですが、ときには祖父母であったり兄弟が子供の心を弱くしてしまうこともあります。
たとえば、昔気質で融通が利かず、いつも不機嫌な祖父などが身近にいた場合、子供は大人に対して萎縮します。子供にとって『身近な大人=大人になってからの他人』ですので、身近にいた大人が怖い大人だった場合、他人に怯えやすい人間になります。
兄弟の姉や兄が優秀な人間で、自分が凡庸だった場合、劣等感を抱えてしまいます。
その結果、『自分は何をやってもダメだ…』と思い込むようになり、人生を積極的に生きられなくなってしまいます。
引きこもりの原因というのは、このように子供時代の家庭環境によって作られるのです。
暖かく、子供の自主性を尊重してくれる親や家庭で育った子供ならば、イジメられても言い返すことが出来ます。
いいえ、そもそもそのような子はイジメられることはありません。
愛情あふれる家庭で育った子供ならば、会社で辛いことがあっても立ち直れます。
そうでない子は、大人になると普通ならば耐えられるようなことで傷つき、再起不能になります。
教育の世界で、『問題児の親は問題親』と言われるのも、このように『子供に問題が起きた原因はそもそも親にある』ということが分かっているからです。
関連記事『傷つきやすいのは生まれつき?ナイーブすぎる性格の原因は子供時代!』
引きこもりの解決策
以上のことから、引きこもりの解決策にはひとつの指針が見えてくると思います。
それは、『親では引きこもりを助けることは出来ない』ということです。
なぜなら、子供が引きこもる原因を作ったのはそもそも親である場合が圧倒的に多いからです。自分の子供の気持ちをしっかりと理解してあげられる親ならば、そもそも子供は引きこもりになどなりません。
厳しい言い方ですが、引きこもりを生み出してしまった親というのはそもそも親としての能力が低いのです。そしてやっかいなことに、自分に親としての能力が低いことを理解していない親が非常に多いのです。
『私はきちんと子供に愛情を注いでいた! それなのに引きこもったのは、学校や社会のせいだ!』
と、本気で叫ぶ親さえいるくらいです。
しかしその親が『子供のため』といってやっていたことと言えば、子供を進学校に入れるために過度な勉強を押し付けていただけだったりします。
そしてその理由も、本人は『子供が将来苦労しないように』だと本気で思っていますが、はたから見れば『子供を進学校に入れて自慢したいだけ』以外の何物でもなかったりします。
教育熱心な親のもとで育った子供が引きこもりになったりコミュ二ケーション能力が低く孤独な人生を送っていたりするケースが多いのも、このような『見せかけだけの愛情を押し付けてくる親』に育てられたことが原因です。
ですので、引きこもりを助けたいのであれば、親や身内はあまり期待出来ません。
まったくの他人でありプロである『引きこもり自立支援』のプロに任せるのが最も良いといえるでしょう。
ただし、間違っても、『引きこもっているのは甘えだ!』などと大声で叫ぶような自称『引きこもり自立のプロ』に依頼してはいけません。そのような人間に任せると、最悪、自立させるはずの子供が自ら命を絶ってしまう危険性さえあります。
『引きこもりのほとんどは家庭が原因であり、引きこもっている本人もまた犠牲者である』
このような客観的な視点を持っているプロを探しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
『引きこもりの原因は親?男女別の特徴と家庭との関係・解決法など!』
という話をしてみました。
まとめると、次のようになります。
〇引きこもりの特徴は、男性は『社会的なもの(学校・仕事)』、女性は『人間関係』が多い。
〇引きこもりの原因は主に幼少期の家庭環境、特に親子関係にある。
〇引きこもりを解決したいならプロに任せるのが一番。
ということになります。
私は引きこもり自立支援団体の宣伝をするわけではありませんので特定の団体を売り込んだりはしませんが、やはり何事もプロに任せるのが一番だと考えます。
ぜひ検討してみてください。
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